AIに自社の記事を書いてもらう前に、何を伝えればよいのでしょうか?

AIに自社の記事を依頼するときは、読者の疑問、その答えを支える資料、作ってほしいもの、守るべき範囲を伝えます。仕事は、問いを決め、資料を確かめ、執筆を依頼し、下書きを確認する順に整理できます。途中で情報が足りないと分かったら、どこまで書けるかを判断し、必要な点を担当者に確認しましょう。

ここからは、倉庫の屋根を点検する会社を舞台にした架空の例です。会社、資料、社内のメモ、文章案は説明のために作ったもので、Supasaitoや実在する顧客の事例ではありません。マーケティング担当者が記事を依頼する準備から、サービス責任者による下書きの確認までを追います。

1. 営業から届いた質問を、記事の問いにする

この会社のマーケティング担当者は、営業担当者から次のメモを受け取りました。

営業担当者のメモ

点検の訪問時に、雨漏りの修理も含まれるのかという質問があります。

担当者は、サービスを説明する記事があれば、この疑問に答えられると考えます。ただし、AIへ「当社の屋根点検サービスについて、ブログ記事を書いてください」と頼むだけでは、何を中心に説明するのかが伝わりません。

そこで、読者を点検の依頼を検討している倉庫の設備管理担当者と定め、記事で答える問いを絞ります。

屋根の点検を依頼すると、修理も含まれるのでしょうか?

これで、次に探すべき情報も決まります。まず必要なのは、点検に含まれる作業と、修理の扱いを確認できる資料です。会社の歴史をすべて集めることから始める必要はありません。

提供範囲をどう整理するか迷ったときは、Visibility・Clarity・Trustの記事のClarityの項目が参考になります。対象、含まれる内容、条件、限界を、検討する人が判断できる形で説明しています。

この段階で決めるのは、記事のテーマだけでなく、誰の、どの疑問に答えるかです。それをもとに、執筆の根拠になる資料を用意します。

2. 問いに答える資料を選び、使える内容を確かめる

担当者は、サービス責任者が内容を確認した案内を用意しました。次の文章も、この例のために作ったものです。

サービス案内

屋根点検には、現地での点検、写真撮影、点検結果をまとめた書面の報告書が含まれます。修理は別途お見積りします。

これで、記事の問いに答える根拠が揃いました。サービス案内は提供範囲を説明するために使い、先ほどの営業メモは記事を作る背景として添えます。「修理も含まれるのか」という質問があることと、実際に修理が含まれることは別です。

GoogleのGemini API向けプロンプト設計ガイドも、モデルが必要な情報をすべて持っていると想定せず、質問に関係する資料を与える方法を紹介しています。今回も、会社名だけからサービスの内容を補ってもらうのではなく、根拠になる箇所を渡します。

資料を揃える途中で、足りない情報や食い違いに気づくこともあります。

たとえば、担当者が報告書の納期も記事に加えたいと考えた場合、この案内だけでは確認できません。サービス責任者に尋ねるか、納期の約束を含めずに点検の範囲を説明するかを判断します。「修理も含まれるか」という問いには、納期が不明でも答えられます。

別の古い下書きに「修理も含まれます」とあれば、これは記事の答えそのものに関わる食い違いです。その箇所をサービス責任者に示し、現在の提供内容を確認してから、修理についての記述を使います。

つまり、ここで行うのは資料を増やすことではなく、今回の説明を何で裏づけられるかの確認です。Anthropicが2025年9月に公開したAIエージェントのコンテキスト設計に関する記事でも、十分な情報を含めながら関連性の高い材料を選ぶ考え方が示されています。エージェント開発の指針であり、この依頼に最適な資料量を実証したものではありません。

自社で進めるときも、資料が現在の提供内容に合っているか、誰が確認したか、利用するツールに渡してよい情報かを確かめてください。アップロードした資料や連携先のフォルダー内のファイルなど、必要な確認済みの資料をAIがすでに読める場合は、その内容を依頼文にもう一度貼る必要はありません。使ってほしい資料をAIが開けるかどうかを確認してください。ファイル名やリンクを伝えるだけでは、AIがその内容を読めるとは限りません。

この例では、上のサービス案内と営業メモの全文を依頼に含めます。使う根拠と未確認の点が整理できたら、書いてほしい内容をまとめます。

3. 資料と作業の指示をまとめて、執筆を依頼する

ここで担当者は、記事の下書きという成果物、守るべき範囲、確認する人を指定します。「下書きを作る」は作業の指示、「修理は別途見積り」は資料が支える事実、「専門用語を説明する」は書き方の希望です。役割を分けて伝えると、何を根拠に、どのような文章を作ってほしいかが明確になります。

AnthropicのClaude向けガイドも、求める成果物や制約を具体的に伝え、指示の背景を説明することを勧めています。

今回なら、サービス案内を「資料1」、営業メモを「資料2」として添え、次のように依頼できます。

倉庫の設備管理担当者に向けて、「屋根点検には修理も含まれるのか」に答えるブログ記事の下書きを作ってください。

資料1を、当社のサービス範囲を説明する根拠として使ってください。資料2は、この記事を作るきっかけになった質問を示すものです。

現地での点検、写真撮影、書面の報告書が含まれることと、修理は別途見積りになることを説明してください。点検と修理をまとめて依頼済みであるかのようには書かないでください。

資料にない料金、報告書の納期、資格、保証、顧客の成果は加えないでください。説明に必要な情報が足りなければ、確認したい点を記事本文とは別に挙げてください。資料同士が食い違う場合も、該当箇所を示して確認を求めてください。

専門用語は必要なときに説明し、落ち着いた分かりやすい文章にしてください。下書きはサービス責任者が資料1と照らし合わせて確認します。公開は依頼していません。

先ほど確認した納期の不明点は、ここでは「資料にない納期を加えない」という指示になります。資料を準備した段階で分かったことを、執筆の条件に引き継いでいるわけです。

書き方の見本を渡す場合も、サービスの根拠とは分けましょう。見本に納期の約束が含まれていても、文体の参考にすることは、その約束を自社の記事へ取り込んでよいという意味ではありません。

ここまでで、読者、問い、資料、書く範囲、未確認の点への対応、確認者がひとつの依頼にまとまりました。これはSupasaitoが提案する実務上の整理方法であり、すべてのAIに共通する必須の入力形式ではありません。依頼した後は、返ってきた文章を資料と読み比べます。

4. 下書きを資料と照らし合わせ、修正や確認を終える

次は、執筆後の確認を示すために作った文章案の例です。特定のAIが実際に出力した文章でも、依頼文の効果を測った結果でもありません。

屋根点検には、現地での点検、写真撮影、点検結果をまとめた書面の報告書が含まれます。修理は別途お見積りするため、点検を依頼した時点で修理も含まれるわけではありません。

サービス責任者は、依頼文、サービス案内、この文章案を並べて読みます。現地での点検、写真撮影、書面の報告書が揃っているか。修理が「別途見積り」のままか。資料にない納期や保証が加わっていないか。この点を確かめます。

ここで、指示した範囲から外れた文章が見つかる可能性があります。

もし下書きが「点検には修理も含まれます」となっていれば、資料1との違いを示して修正します。書かないよう指定した納期が加わっていた場合も、その約束を削るか、必要ならサービス責任者に確認します。依頼文で「報告書の納期を加えない」と明示していても、確認者は下書きに納期が加わっていないかを確かめる必要があります。

Anthropicの誤った回答を減らすためのガイドは、Claudeが与えられた情報と一致しない文章を生成する場合があると説明し、不明点を認めるよう指示することなどを勧めています。対策を指定しても、正しさが保証されるわけではありません。

下書きを確認し、必要な修正を終えたら、確認者は「点検に含まれる作業と、修理が別途見積りであることは資料1と一致。報告書の納期は確認できなかったため、下書きでは納期を約束していない」と短く残せます。後から記事を確認する人も、何を確かめ、なぜ納期を書かなかったのかが分かります。

資料に合っているかと、その資料自体が現在の提供内容に合っているかは、分けて確かめます。AI回答と引用元を読み比べる手順では、この違いを詳しく説明しています。

今回の作業は、公開前の確認を受けた下書きを用意するところまでです。依頼文、使った資料、修正後の下書き、確認結果を一緒に残せば、次の工程へ引き継ぐ人も判断の根拠をたどれます。

自社で始めるなら、まずは記事を1本選び、読者の問いを決めてください。その答えを支える資料を確認し、依頼にまとめ、返ってきた文章を読み比べる。各段階で分かったことを次の段階へ渡していくのが、この仕事の進め方です。

よくあるご質問

会社の資料をすべて渡す必要がありますか?

今回の記事で答える質問に関係する資料から選びます。扱う範囲が広ければ追加の資料も必要ですが、資料の量を増やすこと自体を目標にする必要はありません。利用するツールに渡してよい情報かも確認してください。

会社名とWebサイトのURLだけでは足りませんか?

それだけを根拠に、特定のサービスの内容まで確認できたとは言えません。必要な箇所を示すか、参照してほしい資料を特定し、下書きの事実がその資料に合っているかを確かめます。

資料に書かれていない情報は、AIに補ってもらえますか?

自社が約束する料金、納期、対応範囲などは、未確認のまま補わないようにします。説明に必要なら担当者へ確認し、分からない間はその約束を記事に含めないでください。

依頼文を詳しく書けば、確認は省けますか?

省く前提にはしないでください。下書きが資料と一致しているかに加え、その資料が現在の提供内容に合っているかも確認します。今回の例なら、サービス責任者が点検に含まれる作業と、修理が別途見積りであることを読み比べます。