近年では、さまざまな企業がグローバル展開をしようとしています。この取り組みには、製品のカスタマイズから法律の手続き、パートナーシップの確立、そして最終的には海外顧客への販売まで、多岐にわたる課題があります。グローバル市場で成功するためには、しっかりとしたデジタルの仕組みが必要です。
グローバルビジネスの中で、いくつかの重要なポイントを見ていきましょう。まずは、「グローバリゼーション」という言葉に注目してみよう。
グローバリゼーション
グローバリゼーションとは、世界中の経済、文化、人口がますます結びついていく現象です。具体的には、商品やサービスの取引、技術、投資、人や情報の流れが国境を越えて行われることを指します(ピーターソン国際経済研究所の定義)。
つまり、国の境界が薄れ、異なる国の人々がお互いにより近く感じるようになる状態です。現代では、インターネットとソーシャルメディアの進化により、コミュニケーションが容易になり、誰もが参加しやすくなりました。COVID-19のパンデミックも、リモートワークやオンラインコミュニケーションに対する偏見を取り払う一因となりました。
現在、ビジネスを世界中で展開するためのインフラが整備され、それを自宅からでも利用できます。Twitter、Instagram、LinkedInなどのプラットフォームを通じて、世界中の観客にアプローチすることが可能です。Stripeを使った国際的な支払い、Google MeetやZoomを使ったオンライン会議、ウェブやモバイルアプリを通じたサービス提供がスムーズに行えるようになりました。
これにより、便利になる一方で、競争も激化しています。オンラインで様々なサービスを提供する多くの人々が存在し、成功するためには常に顧客の注意を引く必要があります。成功の鍵は、単なるニーズへの対応だけでなく、馴染みのあるトーンや語彙を使用して顧客とコミュニケーションをとることです。場合によっては、顧客の母国語でコミュニケーションをとることも求められます。
外国の顧客とのコミュニケーションを調整するには、国際化と地域化という2つの戦略があります。グローバルな環境で成功するためには、これらのアプローチを理解し、効果的に活用することが不可欠です。
インターナシュナラゼーション(国際化)
国際化の目的は、情報を他の言語に翻訳することで、より多くの国の人々にメッセージを伝えることです。インターナシュナラゼーションでは、特定の地域に合わせることはせず、そのまま翻訳されます。日本では”多言語化”と呼ばれています。
たとえば、日本の企業が英語圏の人々に向けて、ウェブサイトの英語版を作成するとします。私たちのような、主要なビジネスと言語が日本語である場合、ウェブサイトを英語に翻訳することで、世界の人口の98%と繋がることができます。
インターナシュナラゼーションは、英語以外の国の言語で情報を提供する場合もあります。例えば、Metaのような大企業は、言語が変わるだけで、同じ情報を表示しています。
しかし、もし異なる地域や言語グループに合わせた情報を提供するなら、その場合、ローカリゼーショという戦略が最適です。
ローカリゼーション
インターナシュナラゼーション(多言語化)をした企業は、次のステップとしてローカリゼーションを考えることがあります。
ローカリゼーションは、拡大を目指す特定の国向けにコミュニケーションと製品をカスタマイズすることを意味します。ローカリゼーションとは、特定の地域向けにコミュニケーションや製品をカスタマイズすることです。日本はその良い例です。日本は世界的に見ても重要な経済圏であり、多くの国際企業が参入しています。しかし、言語や文化の壁が高いため、信頼を得るためにはコミュニケーションを調整する必要があります。
効果的なローカリゼーションの注目すべき例として、Stripeのウェブサイトが挙げられます。
- ウェブサイトは完全に日本語に翻訳されています。
- ヒーローセクションには日本のアプリが特集されています。
- 特集されているクライアントのロゴは、日本の企業または日本で創設された国際的に認識されている企業のものです。
- 価格は現地通貨で記載され、日本で人気のある銀行振込やコンビニ決済など、日本で広く利用されている支払い方法が強調されています。
- ケーススタディでは、日本企業との成功したパートナーシップが紹介されています。
これらの要素がうまく組み合わさって、Stripeがその国の有名企業、クライアントと関係を築いていることが、その国のお客さんたちとの信頼を効果的に築いています。
Stripeの成功例から、次はあなたのウェブサイトをローカライズするときのベストプラクティスについて詳しく見ていきましょう。
ウェブサイトのローカリゼーションにおけるベストプラクティス
Stripeの日本市場での成功を解析した後、ウェブサイトを効果的にローカライズするための実践方法について深堀りしてみましょう。
テキストの翻訳
多言語のウェブサイトに基本的に必要なものは、テキストの翻訳です。見出し、段落、リンク、その他の要素のテキストを対象言語に変更することを指します。例えば、「continue」と書かれたボタンがあれば、日本のウェブサイトでは「続ける」、ロシア語では「Продолжить」に翻訳します。
ただし、直訳ではなく、メッセージをその国の常識に合わせることが重要です。例えば、英語の「Welcome!」を日本語に翻訳すると「ようこそ」や「いらっしゃいませ」になるかもしませんが、これらのフレーズは実際の日本のウェブサイトではあまり使われません。誤解や笑いを招かないように気を付ける必要があります。
画像を変更する
ローカライゼーションでは、各地域に適した画像を選ぶことも大切です。たとえば、画像にテキストが含まれている場合は、そのテキストを対応する言語に置き換える必要があります。また、装飾用の画像も、ユーザーの文化的な背景やニュアンスに合わせて変更することを考えるべきです。
例えば、米国をターゲットにしたウェブサイトでは、様々な人種の人々が写っている画像を使用することが一般的です。一方、日本を対象にしたサイトでは、外国の雰囲気を避けるために、日本人の画像を選ぶことが一般的です。これにより、ユーザーがより親しみを感じるようになり、サイトのメッセージがより効果的に伝わるでしょう。
ソーシャルプルーフ(社会的信頼)を証明する
お客様の信頼を築くためには、過去の成功事例やクライアントの実績、お客様の声、受賞歴など、社会的な証拠を活用することが重要です。このような社会的信頼の証明は、ターゲットとなる人々に共感してもらうように調整する必要があります。
例えば、日本のウェブサイトの場合、日本でよく知られているクライアントの事例を積極的に取り上げることが良いでしょう。また、日本のクライアントのお客様の声や実績も紹介することで、顧客との関係を築きやすくなります。こうした工夫によって、お客様がより信頼しやすくなり、ビジネスの成功に繋がります。
コンテンツの調整
地域に特化したコンテンツを作成することは、Appleのニュースなどで見られるように、対象の観客に適した情報を提供し、より良い関わりと共感を生み出すことができる方法です。
多言語向けのコンテンツを作成する際には、文化の違いに関する文脈や説明を提供することが重要です。例えば、日本語でリブランディングについて話す場合、「スパサイト」が「super site」の日本語からの音写であることは推測できますが、英語ではその語源を説明することが最善です。ブログやセールスコピーでの文化的な言葉も、その国や地域の文化的な背景に合わせて調整するべきです。
スタイリング
各国、地域にはそれぞれ好みがあります。フォント、色、スペーシング、ページのデザインなどを、その国の好みに合わせると、ウェブサイトがより魅力的になります。例えば、左に寄せた線が何を示すかも、英語と日本語では違います。英語では引用の「ブロック」を意味しますが、日本語では「見出し2」を示します。同様に、「OK」も英語ではチェックマークですが、日本語では丸(○)です。
これらの考慮事項は、特定の市場に向けてウェブサイトをより効果的に合わせるのに役立ちます。
ウェブサイト・ローカリゼーション・ツール
ローカライゼーションに必要な地域ごとのカスタマイズを実現するには、グローバリゼーション(多言語化)を超えた高度な技術が求められます。そこで登場するのがWebflowのローカリゼーションです。Webflowは私たちが選んだウェブサイト作成ツールであり、そのローカリゼーション機能がどのように優れているのかを探ってみましょう。
サーバーサイド・レンダリング翻訳
Webflowは、ホスティング機能を備えた高品質なウェブサイトを構築するプラットフォームとして、サーバーサイドでレンダリングされた翻訳を行います。これは、各言語のページをフロントエンドのJavaScriptに頼らずに、Webflowのサーバーから直接ブラウザに提供することを意味します。これにより、読み込み速度が向上し、ユーザーエクスペリエンスとSEOに重要な影響を与えるだけでなく、クライアントサイドのレンダリングに関する技術的な複雑さが簡略化されます。
簡単な翻訳管理
Webflowは、他の一部のツールとは異なり、コンテンツごとの方式ではなく、インスタンスごとの翻訳アプローチを採用しています。翻訳はページ上の特定のHTML要素に結び付いており、コンテンツベースの翻訳は特定の単語セットにリンクしています。これにより、元のコピーにわずかな変更があっても、コンテンツベースの翻訳がリセットされるという問題が解消されます。インスタンスごとのアプローチは、異なる地域(言語)での翻訳管理を合理化し、コンテンツの変化に対応しやすくなります。
すべてを翻訳
ローカリゼーションは、ただページのテキストを翻訳するだけでなく、Webflowではメタタイトルやメタディスクリプション、画像の情報、代替テキスト、URLなども翻訳できます。これによって、ユーザーがより自然にサイトを利用でき、同時に効果的な多言語対応の検索エンジン最適化(SEO)にも貢献します。
スタイルの変更
Webflowでは、言語ごとにスタイルや要素の表示を調整できる機能があります。これにより、地元の観客に合わせた言語別のバージョンを簡単に作成できます。この機能によって、ウェブサイトの各言語バージョンが読者にとってなじみ深く、文化的に適切なものになります。
CMS管理
WebflowのCMS管理では、各言語ごとに異なるコンテンツを作成できます。これは、ニュースやブログ記事など、ある言語では関連性があっても、他の言語ではそうではないものを投稿する際に役立ちます。さらに、CMSリストのフィルターや並び替え設定も各言語ごとに変更でき、言語ごとの事例やお客様の声、クライアントのロゴ、記事を紹介することができます。
Webflowのローカライゼーション機能は、ウェブコミュニケーションを特定の言語に合わせて効果的かつ効率的に調整するためのツールとして便利です。
ローカリゼーションの始めかた
もしまだウェブサイトを持っていないのであれば、Webflowを使用してウェブサイトを作成し、ローカリゼーション機能を活用して、さまざまな国の人々がアクセスできるウェブサイトにすることを強くオススメします
Webflowは私たちがウェブサイト開発で使用するツールですが、学習コストが高いです。もし自分で構築する時間がない場合は、お気軽にお問い合わせください。多言語化、ローカリゼーションをサポートいたします。
すでにWebflowで構築されたウェブサイトがあり、多言語サポートをご希望の場合は、Webflowのローカリゼーションを利用して多言語化をすることができます。多言語化の実装に不安がある場合は、弊社にお任せください。
逆に、Webflowで作成されていない場合は、Weglotのような多言語化ツールを使用することで、多言語化、ローカリゼーションを実現できます。Weglotは先述のようにコンテンツに基づいてテキストの翻訳を自動化し、画像の切り替えや翻訳対象からの除外機能も提供しています。これにより、ウェブサイトのコンテンツを素早く効率的に翻訳できます。
さいごに
グローバルで活躍するためのウェブサイトの多言語化、その国の特色に合わせたローカリゼーションとWebflowのローカライゼーション機能についてご紹介しました。私たちのウェブサイト制作の専門知識と、Webflowの強力なローカリゼーションツールを組み合わせることで、多言語化へのスムーズな移行をご提供いたします。是非、ウェブサイトの多言語化、ローカリゼーションを検討している方は、お気軽にお問い合わせください。